忘れもしない。あれは橋下氏が茶髪の弁護士として売り出していた頃の話だ。彼は音楽産業の衰退について、「CDが売れないならライブで稼げばいい」と断言した。
僕はその時、あぁ、こいつは世界中の天才録音技師も、録音芸術を100年にわたって支えてきた各種録音機器メーカーも眼中に無いんだな、と思ったんだ。彼ら偉大なエンジニアがレコードやCDのみならず音楽の発展に決定的に不可欠な特異点であった事を、こいつは全く知らないのだな、と。雑なヤツだな、と。
今でも彼の取捨選択の基準は変わっていないように見える。自分が知らない事や興味を持てないものは大阪にとって必要がないのだ。彼は今後も、どんどん切り捨てるだろう。蚊に刺された腕が痒くて仕方ないのなら、腕を切り落としちゃえば良いじゃないですか、みたいな勢いで。
複眼的視座を無視し、己が決断がどれほど醜悪なバタフライ・エフェクトを惹起し得るかを考えられない者の愚かさほど怖いものはない。小泉構造改革なるものが小泉本人の予想を上回る弊害を産んだように、彼は必ず、「政敵と衝突した事案」にではなく、「忖度さえしなかった事案」に復讐されるだろう。
1 month ago